不景気時代のビジネスチャンス
中国で最近売れているのは自己啓発本や経営本だが、日本で最近売れているのは「節約術」や「整理術」をテーマにした本だ。「100円で作れる料理レシピ」、「年収100万円の節約生活」、「整理する時間がない人のための整理術」などがベストセラーとなっている。「節約術」の本が売れる理由は言うまでもなく収入の減少である。衣食にもこと足りない状況にあることを物語っている。「整理術」が売れるのも、実は同じ原因にある。安い部屋を住まざるを得ないことから、住居空間も狭くなっているのだ。また、兼業する人が増えたことで、時間の「整理」も必要になっている。
書店だけでなく、スーパーの棚でも変化が生じている。秋は、新鮮な果物が棚一杯に並ぶ季節だ。以前ならば、スーパーでは最高級のフルーツを入口の最も目立つところに置いたものだった。しかしこの2年、それらは脇に置かれ、同類のフルーツでも比較的安い品種のものが入口の棚を占めるようになった。それ以外、お惣菜の種類と数量が増えている。これは働く妻が増えたことを示している。
収入の減少に従い、人々の消費眼も変わった。おしゃれで高級な物ばかり追求するのではなく、H&M、Forever21、Bershkaといったカジュアルブランドが人気を博すようになっている。安価な割にデザインに優れているほか、品物の更新率の高さが若い女性の心を捉えたのだ。そして1998年の金融危機以降に成長を始めたユニクロなどのリーズナブルな店も、相変わらず良好な業績を続けている。
わずかに回復のきざし
しかし、庶民の生活がひっ迫する中、日本経済も一定程度の成長が見られる。ただその歩みがのろいだけだ。低成長経済下では庶民の生活を変えることは難しいだろう。
日本経済の今後について多くの研究機関は、一定程度の回復はあるものの成長率は高くないと考えている。日本経済研究センター研究員の愛宕伸康氏が9月12日に指摘しているが、3月に発生した大震災直後の日本経済はかなり弱体化したものの、4月から回復が見られ、8月の鉱工業生産は5カ月連続で増加し、実質的な消費額も緩やかに増加している。しかし鉱工業生産の拡大速度は予想よりやや下回った。日本経済が迅速に復活したのは、サプライチェーンを迅速に復旧させてV字型の回復を実現させたことであり、結果として7月から9月の実質GDPは高い成長率となった。しかそその後、海外経済の失速と円高の影響によって、下半期の成長率は緩やかになる見込みである。
内閣府が9月9日に発表した統計では、4月から6月の四半期の成長率は0.5%で、通年では2.1%になる見込みだという。日本は成熟経済の国であり、新しい成長の軸を見つけるのは容易ではない。この水準でも十分好成績だといえるだろう。
みずほ総合研究所では、2011年度の下半期について、震災後の復興需要によって成長率は伸び続けると予測する。地震前の水準に生産を回復させる過程で、家庭収入と企業利益が改善され、民間需要も上向く。2011年10月から翌年3月にかけて、年率2~3%の経済成長を維持し、2011年度の実質成長率は前年より0.5%高くなる見込みだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年10月19日