文=「中国青年報」記者・裴毅然
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今年の夏、日本を訪れた際、日本経済新聞社の中間管理者に取材する機会に恵まれた。取材の場で、「貴社の新入社員の採用基準はどういったものですか?新聞学やマス・メディア専攻の学生が優先的に採用されるのでしょうか?」と質問してみた。
日本経済新聞社国際事業本部長を務める竹岡倫示氏(52歳)は同社の中では中間管理職に就く存在である。がっしりとした身体で、壮年の貫録が出ている。北京に3年間駐在した経験もあり、中国をよく知る人物だ。竹岡氏は「日本の新聞・マスコミ業界では新規採用の基準は特にありません。新聞学やマス・メディアを専攻したからといって、それが採用の決め手になることはありません。日本の新聞・マスコミ業界では、ジャーナリストの活動は複眼的、多元的なスタンスであることが求められ、各社ともそれぞれの特徴を持っています。各社が求める人材を育成できる大学はないでしょう。そのため、新聞学やマス・メディアを専攻してきた学生に鼻から期待はしていないのです。例えば日本経済新聞社で新聞学やマス・メディア専攻の学生を採用することは滅多にありません」と述べている。
日本の新聞・マスコミ業界では、実務経験上、以下の考えが一般的なようだ:各専攻で得られる様々な知識が、様々な思想や視点を生む。そのため文学・史学・哲学、経営・管理・法学、理工・農学、軍事・医学・教育学、どの専攻であっても歓迎される。ただ、ジャーナリストとしての素質を身につけていることが大前提だ。早稲田大学出身の小林由比さんは、卒業後マス・メディア業界に入るために文学を専攻したそうだ。入社後、希望がかない「中日新聞」東京社会部の新聞記者として毎日を送っている。
更に驚くべきことに、日本の新聞・マスコミ業界では、大卒も院卒(修士、博士)も関係なく同一の基準で選考が進められるということだ。中国であれば、修士や博士といった学歴は、採用の際、非常に重視されるが、日本では全く同じ扱いを受けるという。竹岡氏曰く「学歴に意味を持たない」ため、学位をどれほど取ったからと言って、それが本人の能力を証明するものではない、と認識されている。