さらに、インターネット上のサービスを特徴付けるのは、サービス勃興期には国境は存在しますが、国境の無さ・ボーダレスなサービス産業であるということです。日本ではこの国境の無さが故に、インターネットサービスで世界に出るのは難しい国です。なぜならば、インターネットサービスは、そのサービスがすぐに模倣されるということと、そして、既存ユーザー数によるネットワーク効果が生じるからです。それは例えば、新しいサービスがある国で誕生し発展すると、別の国の企業によって簡単に模倣されますし、また最終的にオリジナルを開発した企業でも、それを模倣した企業であっても、ある一国内で優位のシェアの分割で1位か2位のガリバーが誕生します。そして、さらに、「ある国」と「ある国」のシェア1位同士の企業が競争した場合には、ユーザー数が多いほうがすぐに優位にたってしまうという状況が頻繁に発生します。言語の壁も多少はありますが、それでも技術的な対応によって、このネットワーク効果(ユーザー数の多いほうが、サービス品質を高くもてる。ユーザー数によってネットワークサービスの品質をユーザーがつくり上げる産業構造の場合に散見される形態)が現象として露出してくることになります。
このようにして、インターネット上のサービスは、「ユーザースイッチングコストの低さ」と「ネットワーク効果」によって、他産業には見られない高速度の「死ぬか生きるかの競争=ライフゲーム」が繰り広げられます。そして、その勝者=高品質サービス提供企業と言えるわけです。非常に高い品質サービスを提供するから勝者になるのではなくて、そこそこ少しだけ高い品質サービスを提供するところが一気に勝者となるわけです。そして、その勝者の提供するサービスは「真に非常に高い品質」となっていきます。これが、インターネットサービスにおいての「高品質」を創る構造です。
さて、そのように考えると、日本のインターネットサービスは、オリジナルであろうとも、模倣であろうとも、ユーザー数の問題から、それ以上の人口を持つ国の中の企業に対して劣位であるということが言えます。いま、多くのインターネットサービスはアメリカ発祥であり、または他国発祥であってもアメリカ企業がその優位性を保つようになってきていますが、これから、ネットユーザーが世界一になったといわれる中国がインターネットサービスへの本格参入でいろいろな構造がかわってくるのだろうと思います。