日本新華僑報編集長 蒋豊
日本の各紙では大小の事件が日々報道されている。この1年を振り返ってみると、偽装事件が多かったように思う。ここで少し紹介してみたい。
一つ目に紹介するのが、北海道石狩市の焼き肉ステーキ店「茨戸ガーデン・ノースヒル」が、産地不明の国産和牛を 高級ブランド牛「松阪牛」と偽り、中国人の団体客に販売していた事件。驚いたことに、このあくどい取引は4,5年前から行われていたという。
次に紹介するのが、九州電力のやらせメール事件。2011年6月、玄海原子力発電所2、3号機の運転再開に向け日本の経済産業省が主催し生放送された「佐賀県民向け説明会」実施にあたり、九州電力が関係会社の社員らに運転再開を支持する文言の電子メールを投稿するよう指示していた事件である。
そして最後は、10月に起きたオリンパス事件。オリンパスのウッドフォード社長が突然解任され明らかとなった日本史上最大の会計詐欺事件である。
多くの偽装事件の中で、最も影響力の大きかった事件は、大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件と小沢一郎民主党議員の偽装献金問題だろう。前者の事件では、検事だった前田恒彦被告が自己利益のために、職権を利用してデータを改ざんし、無理やり事件を作り上げたとして、証拠隠滅罪で逮捕された。この事件は日本人がもっていた「検察官=正義」という概念を根本からひっくりかえすものであり、司法制度の信用を著しく傷つけた。後者の偽装献金問題に関しては、今のところ小沢一郎を逮捕する直接的な証拠が見つかっていない。しかし、3名の元秘書の証言から、偽装献金が事実であったことが分かっている。一向に解決しないこの問題は、民主党の執政力を大幅に低下させた。しかし、日本ではどの政党も献金問題を抱えているということを国民に分からせるには十分であった。
上述の偽装事件はそれぞれ異なった分野で発生し、日本社会に打撃を与えた。また、偽装事件の多発は日本社会が抱える多くの問題を明らかにしている。
まず明らかとなったのは、飲食業界への参入が簡単なこと、業界の競争が激化していることに加え、不況や大地震による需要の低下で、多くの飲食店が経営難に直面していることだ。日本の調査会社、帝国データバンクによると、今年1月から11月に倒産した飲食関連企業は648社、2000年の調査開始以降、最多だった。このような過酷な生存環境が、客をだまして暴利をむさぼる経営者を生みだしてしまった。
次に分かったことは、多くの企業がいまだに閉鎖的な「家族式管理」を行い、企業の運営を有効な管理下に置いていないということだ。このような状況の下では、経営者が間違った方向に走れば、企業全体が危険な橋を渡ることになる。オリンパス事件は日本式企業経営文化には改革が必要だということを警告している。
そして最後が、日本政府の高官や議員による間違った行いが、日本社会をダメにし、偽装の体質を植え付けているということだ。これにより、日本社会にもともとあった規則を守る誠実さが崩れつつある。ここ数年の政界の混乱は、政府の信用度を低下させ、法の整備と執行能力に影響を及ぼした。それが悪徳商人に「チャンス」を与えてしまったのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年12月14日