留まるべきなのか
松村さんは立ち去らないが、決して恨みがないわけではない。応急措置と核反応の鎮静化に忙しい政府をみて、「最も危険な区域にいる我々のことをすっかり忘れ去ったようだ。他地域の状況が好転するにつれて、誰も我々のことを気にしなくなってしまった」と嘆く。
専門家グループは、破損した原発を完全密閉するのに30年はかかるとしている。燃料棒の取り出しだけでも10年以上かかると見込まれる。避難区域の数万の住民は、数十年経たないと帰ることができないのだ。数十年という時間は、年配者にとっては永遠に帰れないことを意味する。だからこそ、松村さんはここに留まることを選択したのだ。
帰るべきなのか