帰るべきなのか
地震と津波の避難区域は異なる。放射能の危険がある避難区域には廃墟がない。生存者が瓦礫のそばで泣くこともないし、屋根の下から一家団欒の写真が発見されて悲しむこともないのだ。しかし空っぽになった街は、同じように人を震撼させる。しかも、この地域の再建がいつ始まるのかもわからないのだ。
雨が降り出し、松村さんは山道を沿って自分の田畑へ目指す。腰を曲げて、根っこから作物を掘り出す。ため息をついてから、それを用水路に放り投げた。「今年、売り物になる作物はないな。今後もないだろうが」。
「故郷に帰る前に、我々はやることがたくさんあります。放射能汚染の除去のほか、汚水システムや道路や基礎設備の再建です」。そう富岡町の町長、遠藤克也氏は言う。「しかし、決して希望は捨てません」。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年12月25日