文化は、世代を通じてその奥深い精神性が引き継がれていくものである。さもなければ形骸化してしまう。そして文化の持つ生命力は徐々に失っていく。中国文化の生命力が保たれることで、新しい時代が輝かしいものとなる。中国伝統文化の素養を持ちつつ、西洋文化を理解することこそ、現代の中国留学生が担うべき使命なのだ。
日本に住む中国留学生が置かれている文化環境からいえば、日本の伝統文化と中国のそれは、同じ起源を持つ。歴史や文化の根源を理解するのは難しいことではない。しかし日本人の多くは、中国の伝統文化といえば辮髪をした男性の姿や、チャイナドレスの女性といった表層的なイメージしか思い浮かべない。多様な伝統的中国文化があることや現代中国文化の持つ活力を知る人はとても少ないのである。ならば、中国の留学生は中国の民族文化を彼らにPRすることを使命と考えるべきである。
最近では、春節に近づく頃に名古屋で「名古屋春節祭」が開催されるようになった。多くの日本人に中国人がどのように春節を過ごすのか、中国人がどのように春節を楽しみ、何を食べるのか、どんな気持ちになるのかなどが、日本人に理解してもらえるイベントなのだ。名古屋春節祭は毎年行われており、いまでは中部地域の在日中国人による「春節」PRイベントとなっている。それに比べると、留学生たちの伝統文化PRに対する取り組みは見劣りする。留学生学友会では新春親睦会が行われるが、参加者は基本的に中国人留学生たちだけである。会に参加する日本人の学生は少ない。
春節は中国の伝統的風俗のひとつにすぎない。しかし中国伝統文化は非常に多彩であり、地域によって様々な風俗が残っている。まず春節から出発しつつ、中国の伝統文化の持つ素晴らしさを世界に伝えていくべきだと考える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年1月19日