各企業は、2011年3月11日に発生した東日本大震災、震災後の電力不足、2011年7月に発生したタイの洪水、円高などが原因だと説明。さらに遡ると2008年の米リーマン・ブラザーズの破たんによる世界金融危機、最近だと欧州債務危機による欧州の全面的な景気低迷など、国際情勢は企業の成長に影響を及ぼした。
たとえそうだとしても、日本の電機業界の問題は主にモデル転換にあり、震災や洪水が絶対要因ではないと私たちは見ている。
中国でテレビを購入する際に日本のメーカーでないといけないという消費者はどれほどいるだろうか。東芝(中国)有限会社の桐山輝夫総裁は、「デジタル時代、各メーカーは独自のスタイルの製品を出すことができ、最も有名なメーカーも日本市場に専念していた。ところがデジタル時代に入ると、デジタル技術の統一に伴い、統一された部品でテレビが組み立てられ、ブランドの役割は小さくなり、価格面の取り組みが消費者の購入意欲に直接つながるようになった」と話した。日本メーカーが部品を生産し、組立会社が設計し、最終的に日本ブランドとして販売する方法は、21世紀に入ってから大きな効果を発揮しなくなった。シャープやソニーなどがテレビ事業で赤字を計上したのは、主にこのようなことが原因である。震災や洪水の前に、シャープとソニーにはすでに危機が迫っていた。そんな中で起きた天災は、「ラクダの背を折る最後の藁」になったに過ぎない。
さらに、市場では液晶の統一化が始まっている。パナソニックなどはプラズマ分野などで強力な技術を持つが、市場でまだ認められていない。巨額を投じて建設したプラズマテレビ工場も利益を出せず、2011年10月に稼動停止を強いられた。また、パナソニックが三洋電機を買収する際に投じた資金6600億円のうち、のれん代は5180億円とされたが、近ごろ公表された財務データを見ると、わずか数カ月でその額は2500億元に縮小している。つまり、買収に2500億円しかかからなかったことになる。企業は株主に説明しなければならないが、このような説明は株主を不愉快にさせるに違いない。
単結晶・多結晶半導体材料への投資には非常に多くの資金が必要だ。これまでは鋼鉄が「産業の食糧」と見なされていた(産業の発展を支えていた)が、今は半導体がこの役目を担っている。多くの日本の半導体企業は計画通り投下資金を回収できず、企業にとって大きな負担となっている。
◆日本の電機メーカーの中国市場における光彩と苦境