◆日本の電機メーカーの中国市場における光彩と苦境
そうした環境の中、日立、三菱電機、東芝が高い利益を上げている理由は、中国を中心とする新興市場が社会インフラ建設において日本企業に新たなチャンスを与え、各社新興市場の需要に順応している。そのためテレビや半導体で問題が起きても、地震や洪水に見舞われても、最終的に再起できる。
東芝(中国)の桐山総裁によると、同グループはタイに10の工場をもつが、そのすべてが洪水被害に遭い、今でも6カ所の工場が生産を回復できない状態で、被害状況はかなり深刻だという。東芝はテレビと半導体を生産している。今回の天災および産業構造の転換の中で業績をあげられたのは、エレベーター・火力発電・水力発電・送電など社会インフラ面で、いい効果と収益を維持できたからだという。この部分で高い収益がなければ、東芝もパナソニックと同じ赤字になっただろう。
日立(中国)有限公司の大野信行総裁は重慶市で企業戦略を発表した際、2015年の中国での売上目標を2010年の1000億元から1600億元に引き上げる目標を打ち出した。「わが社は中国のGDP成長率を上回る成長を中国でしたい」と大野総裁は語った。これほど強気なのは、日立が中国の社会インフラ方面で大きな需要を見込んでいるためだ。建設用建築機械から鉄道に必要な信号や車両、それにビル内のエレベーター、スマート都市の電力網など、日立は社会インフラ施設・設備とITを「融合」させ、中国で市場を開拓している。それが5年で2倍近い1.6倍の成長を実現するという壮大な目標の根拠となっている。
ただ、日本企業は克服の難しい問題も抱えている。約80%の日本人は中国に好感を持っていない。野田内閣も中国に対し「価値観外交」の政策を推進すると明確に表明し、日本のメディアも中国のいい面よりも悪い面を圧倒的に多く報道している。日本企業が全力で中国市場を開拓し、高い業績を上げても、日本のメディアが中国の成功を語る時には「中国」を「新興国」にすり替え、電機メーカーの中国での成功、中国での持続的開拓を新興国での成功、新興国市場の持続的開拓という表現に変える。
こうした成功と持続的開拓は今後医療設備や汚水処理、省エネ・環境保護などより深い分野に広がるだろう。こうした分野において中国本土の企業はほとんど太刀打ちできないため、日本企業間または日本企業と少数の欧米企業の間の競争となり、日本企業が高い収益を上げることができる。ただ日本と欧米が唯一違うのは、日本のメディアのあまりに多くが中国の悪いニュースばかり報じ、日本の一部の政治家が20世紀の欧米が残した価値観や概念を持ち出すことで、本来中国でより高い収益が出せる日本企業に影響を及ぼすことだ。その結果、韓国や欧州の電機メーカーに比べると今後中国市場でのシェア拡大が難しくなる可能性がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年2月17日