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日本国内のスーパーやレストランでは、取り扱う野菜や果物などの食材の産地を表示している所も多い。被災地から遠く隔たった地域が産地だと売れ行きがよくなるようだ。米エモリー大学教授で元 IAEA(国際原子力機関)顧問を務めたジェームス・スミス氏は「放射性物質は食物連鎖に入りこむので、消費者の食の安全のためにも、日本政府は厳格なモニタリング体制をとり、そのデータを国民に公開しなければならない」と述べている。
実際、福島原発事故が発生してから、厚生労働省と農林水産省はすぐさま、食品中の放射性物質を規制するための暫定基準値を定め、食の安全に備えている。例えば、放射性セシウムの許容上限は、水産物、食肉、野菜などは1キログラム当たり500 ベクレル、飲料水、乳製品は1キログラム当たり200ベクレルとなっている。流通品がこの基準を下回っていると分かっていても、なおも消費者の不安は払拭できない。
原発事故は収束が困難であり、現代科学技術を以ってしても食物連鎖および人体におよぼす影響を予測することは出来ないことを懸念する声も多い。年月が過ぎれば、原発事故による汚染物質は次第に拡散・消失するが、半減期が長い放射性セシウムは残り、主体を占めるようになる。うちセシウム137は約30年の半減期を持っている。これは国内の食の安全や国民の健康への脅威が長期的に存続することを示している。
日本国内の食の信頼の再構築をするには、まずその風評被害から脱却し、消費者に実際の状況を理解してもらうことが肝心である。ミスキャンパスらによる安全性アピールはしょせん付け焼刃に過ぎないのだ。(蒋豊)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年2月27日