今年は中日国交正常化40周年にあたる。「瞭望」新聞週刊の記者はこのほど、在中国日本国大使館の丹羽宇一郎大使にインタビューを行った。丹羽大使はインタビューの中で「理解」と「信頼」という言葉を多用し、中日友好への願いを示した。
▽一番良く行った場所は野菜市場
丹羽大使は伊藤忠商事の元社長であり、中国の政界・ビジネス界に幅広い人脈を持っている。就任以来、中国18省を訪れ、省級の指導者17人と交流したという丹羽大使は「中国の上層部についてはよく理解している」と語る。
丹羽大使が中国に来てから一番良く行った場所は野菜市場だという。どの地方を訪問しても忙しいスケジュールの合間を縫って現地の野菜市場を訪れ、店主に商売はどうかと聞き、人々の生活を目にし、現地の日本語学校を訪れ、学生たちと交流した。こうすることで初めて真の中国社会を知ることができるのだという。
中国で最も印象に残っている場所はと聞かれ、北京や上海などの近代的な大都市ではなく、雲南、内蒙古、新疆、チベットなど少数民族の風情あふれる地方だと答えた丹羽大使。「このように各地を訪問したことは、想像していたよりも意義が大きかった」。
丹羽大使を知る人は、その「民間的なやり方」に驚かないだろう。丹羽氏はこれまで「草の根的な交流」を推進し、まさに身をもって実行してきた人からだ。丹羽大使は、「草の根外交」の最も良い方法は両国国民の相互訪問を奨励することだとする。ある日本の世論調査によると、中日国民の8割以上が相手国に行ったことがない、または相手国の友人を持たないという。今年は中日国交正常化40周年にあたり、双方が交流を増やし、理解を深める絶好の機会だ。中央レベルの交流も重要だが、地方同士の交流も軽視できない。
丹羽大使は、「現在日中両国の友好姉妹都市提携数は約350件にのぼり、地方レベルの交流を後押ししている」とし、特に両国の青少年交流の重要性を強調した。昨年12月の野田首相訪中の際、中日首脳は5千人規模の青少年交流プロジェクトに関する共通認識に達している。