現職の田中直紀防衛相
同時に、民主党内部の抗争もますます激しくなり、野田佳彦内閣誕生のときにはすでに民主党は矛盾が際立つ2大陣営に分裂していた。党内の協調を示し、政権としての地位を維持するため、野田氏は内閣のメンバーを選択するに当たり、元代表の小沢一郎氏をトップとする党内最大勢力の利益を配慮せざるを得なかった。そのため、一川保夫氏が一介の農民出身であろうと、田中直紀氏に防衛・保障の経験が欠けていても、野田氏は2人を内閣に引き入れ、防衛相という職務に就かせたのである。
しかし、この2人の「門外漢」の防衛相は実に意気に欠け、それどころか頻繁に民主党と野田首相に「恥をかかせる」非尋常な行動に出た。一川氏は就任してすぐ進んで自らを「素人」だと認めており、田中氏は国家答弁で間違いをするのでなければ「ハングアップ」するなど、野党に何度も名指しで批判されている。
最後にはっきりさせなければならないのは「項荘舞剣、意在沛公」。項羽の部下の武将である項荘が剣の舞を踊ったのは、その意図は沛公、劉邦を殺すことにあった。つまり、話や行動の狙いが名目とは別のところにある、ということだ。首相の大臣任免の力不足を追及する目的を遂げるため、2大野党は一川氏と田中氏を現内閣の肋軟骨として重点的に注視している。
こうした状況のなか、一川氏はブータン国王の歓迎晩餐会を欠席、田中氏は国会審議中に席をはずしてコーヒーを飲む。いずれも野党に取り上げられて弱みとなり、攻撃にさらされている。外見は正直で温厚な感じのする2人の防衛相は、政党間の利益をめぐる対立を測る分銅、日本の政権抗争の「犠牲品」にもなっているのだ。(蒋豊)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年4月11日