7月上旬に入り、上半期の経済データが続々と発表されると、日本の景気減速がひときわ目立ち、市場には以前にも増して、深刻な懸念と動揺が広がっている。欧州のような債務危機を回避するために尽力している日本だが、経済の雲行きは益々怪しくなっていると言えよう。
まず、内閣府が7月9日に発表したデータだが、5月の機械受注額は前月比14.8%減の6719億円だった。製造業の受注額は同8%の減少となり、化学工業や石油製品・石炭製品関連工業の受注のマイナスも目立った。
次に、財務省が9日に発表した5月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスなどの取引を示す経常収支の黒字額は前年同月比で62・6%減と、黒字幅は大きく縮小した。
更に、対ドル・対ユーロの円相場は上昇圧力に苦しんでいる。7月6日、野田佳彦首相は国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と会談した際、「一方的に進行する円高は東日本大震災から立ち直りつつある日本経済に、深刻な悪影響を及ぼしている」との懸念を示している。
そして、日本国債の利回りも低くなっていることも楽観できない。9日、債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りが0.790%を付け、2003年6月以来、9年ぶりの低い水準を更新した。日本国内外の投資者らの欧州債務問題への警戒感や米国景気の減速懸念などから、安全な日本国債への投資が加速したことが原因である。外資の流入は、日本の資金調達にプラスとなるものの、一方では日本の債券市場の更なる外資への開放が迫られることで、多くを占める国内の投資者らの不安を煽るというマイナスの要素も持ち合わせている。そして、利回りの低下は国内投資者の積極性や国債市場の安定に打撃を与え、日本国債の魅力が激減してしまうという悪影響をもたらす。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月20日