■中米対立を懸命に促す防衛省
森本防衛相訪米後、産経新聞はただちに社説を掲載し、日米の「対中共同行動の強化」を鼓吹した。これはもちろん軍事的な共同行動を指している。
歴史を見ると、中国の領土上で起きた中米間の直接戦争は指折り数えるほどしかない。第二次大戦後、中国周辺で抗美援朝戦争(朝鮮戦争)、続いて抗美援越戦争(ベトナム戦争への中国の介入)が勃発し、中国の領土まで戦火が延焼した。米国は朝鮮ではうまい汁を吸えなかったし、ベトナムでは完敗を喫した。朝鮮戦争とベトナム戦争が米国に与えた教訓は、日本の防衛省が理解できるものではない。なぜなら日本は甲午海戦(黄海海戦)から第二次大戦終結まで中国に負けたことはないと自分では思っているからだ。日本は米国には完全に従う。なぜなら米国に徹底的に打ち負かされたからだ。ロシアに対してもある程度は屈服する。なぜなら第二次大戦中にソ連に対する幾度かの挑発で、惨敗を喫したからだ。第二次大戦終結前のソ連の突然の対日宣戦も、日本に徹底的な教訓を与えた。日本軍が正しく評価することのできない世界唯一の国が中国なのだ。
現在防衛省は中米対立を懸命に促している。現在の経済関係を見ると、中米は世界最大の経済貿易パートナーであり、米国企業の対中投資は膨大で、大量の中国人が米国に留学し、働いている。中米間で起こり得る誤解は、中日間の既存の誤解よりもずっと少ない。森本防衛相は日米軍事同盟強化のために訪米したが、日米軍事同盟を利用して中米対立を作り上げることに現実性があるかどうかはわからない。逆にこのようにした結果、中日間の意志疎通はますます困難になり、それによる東アジア情勢の緊張もさらに長く続くことになると思われる。
防衛省は中国の脅威を吹聴することはできるが、中国が日本にとって最大の貿易パートナーでもあり、日本の経済成長は中国を相当程度必要とし、東アジアの平和を中国と築くチャンネルを残しておくことも同様に大変重要であることを忘れるべきではない。(文:陳言・日本問題コラムニスト/日本産網站CEO)
「人民網日本語版」2012年8月7日