今回の米国の立場表明を「安保条約の適用範囲には日本が合法的に管理する主権領土も、非主権下の支配領土(例えば釣魚島)も含まれる」と理解するならば、米国の見解自体が安保条約7条に違反する。この条文は、条約に対して国連憲章に違反する解釈をしてはならないと定めているからだ。国連憲章によれば、一国の行為は他国の主権や領土保全を侵害してはならない。従って米国の行為は不法なのである。このため米国は「主権の帰属については立場を取らない」との言葉を前に加えることで、中国への主権侵害との理解を避けようと企てている。余地を残しておく米国のこの発言は、法律上の不確定性を利用するものであり、その曖昧な言葉遣いと揺れは自国の戦略上の利益に資するために過ぎないのだ。
釣魚島に米国が本当に安保条約を適用するのか否かは、実はまだ仮定の問題に過ぎない。だが現実として日本はこの仮定の問題を「切り札」と見なし、冒険的に事態をエスカレートさせている。今年に入り日本は釣魚島問題で動きを活発化させ、両岸がどんなに抗議し、反対しようとも、頑なに積極的な動きを見せている。「離島命名」事件以後、日本は「東京都の尖閣諸島購入計画」、「国有化」、台湾の関わる「在留カード」変更、「現地調査計画」などを相次いで打ち出した。日本はこうした猛進において例外なく入念に画策し、一歩一歩陣地を固めながら前進しているのだ。
いわゆる「東京都の東京都の尖閣諸島購入計画購入」と「国有化」の争いはまるで目くらましで、肝心な点から視線をそらさせる狙いがある。東京都であれ日本政府であれ、いずれも政府であり、どちらが釣魚島を「購入」しようとも、日本という国を代表する国の公権力機関による行為であるからだ。日本右翼が過激で抑制困難というのは日本の国内政治に過ぎないし、「島の所有者」が売却を拒否したというのもまた別の手管に過ぎない。中国の主権下にある釣魚島に、どうして日本の所有権者がいるのか?
国際法上われわれが見るのは行為の結果のみだ。そしてその結果とは「日本の中央政府と地方政府は共に『釣魚島購入』という同一の事を進めている」ということなのだ。したがって行為の主体が中央政府であろうと地方政府であろうと、中国の主権に対する不法な侵害なのである。そして台湾の関わる「在留カード」変更は、中国両岸に対する離間工作の開始である。これは在日台湾人数万人の国籍と地域の観念に直接影響を与える一方で、「国籍」と「地域」を併記することで日本政府が自由に解釈できる余地を残している。現在日本側はこれは「地域」を指すと口頭で説明しているが、明日必要になれば「国籍」と解釈することもできるのだ。
こうした様々な行為は、いずれも日本の秘めた魂胆を露呈するものだ。米誌フォーブスも以前、日本は釣魚島問題を「危険な高度」に引き上げつつあると分析した。日本は釣魚島に対する企てにおいて、猛進と沈着を兼ね備えた道を歩んでいる。これは矛盾した危険な結びつきだ。軍国主義を繰り返すべきではない。中日共同声明に違反するおそれのある日本の行為に対して、われわれは条約の厳格な解釈を断固主張し、いわゆる台湾は「地域」としてのみ扱っているとの説明を書面の形で確定させ、様々な目くらましに対して両岸共に十分な認識と防備をすべきだ。祖国の主権と利益の大局を守ることは、全ての中国同胞に共通の望みである。
「人民網日本語版」2012年8月8日