2つ目は「国の地理的国境・権益的国境の差論」。国の地理的国境が固定されているという状況下で、国力と国際情勢の変化に伴い、その国益は地理的国境より大きくなったり、小さくなったりする。例を挙げると、第二次世界大戦後に米国の国力は高まり、国益は国境を越えて世界に行き渡った。ソ連崩壊後、ロシアの国力は振るわず、権益的国境は大幅に縮小し、地理的国境より狭くなった地域もあった(ロシア政府はチェチェンの支配権を失ったことがある)。昔は朝貢体制があったため、中国周辺に多くの藩属国(日本に不法侵略されていた琉球王国を含む)があり、中国の各時代の権益的国境は地理的国境より大きかった。近代中国においては半植民地化が進むにつれ、西側列強は中国に租界を設置しただけでなく、勢力範囲を区分し、多くの省が半独立状態になった。中央政府が直接管理する地域はかなり限られ、権益的国境は極限まで狭まった。中華人民共和国成立後、強力な中央政府の建設と国力の回復に伴い、権益的国境は次第に広がったが、多くの地域の権益的国境は今も地理的国境の外にある(東中国海、台湾、南中国海、チベット南部など)。中国の総合国力の持続的増強に伴い、中国の権益的国境が地理的国境を越える可能性は十分にある。釣魚島が中国の権益的国境内に戻ることも十分にあり得る。
3つ目は「国境地帯論」。1940年代の第二次世界大戦後、米国の地政学者のニコラス・スパイクマンは、マッキンダーのハートランド論をもとにリムランド理論を提唱した。スパイクマンは、2回の世界大戦は国境地帯で発生し、しかもその国境地帯の経済、人口はいずれもハートランド(中核地域)を超えているとの見方を示した。中国は西太平洋地域の大陸と海洋の国境地帯にあり、人口が多く、経済が発達し、国力を高めている。陸・海洋の権益を持つ中国の国力は島国の日本よりはるかに高く、釣魚島の支配権を取り戻すことは十分可能だ。
◇中国が適切に対応すれば、釣魚島を取り戻す日は遠くない