今回の選挙では、TPP等の貿易課題、国内産業成長のための施策課題等の経済政策はあまり争点とならずに、消去法的選択肢として自民党の圧勝となってしまったように思われます。おそらく自民党は、支持組織の構造、いわゆる既得権益組織の意見を重視し政権担当与党時代の政策を再度推進していくでしょう。これを証明するかのように、この数日の日経平均株価上昇は明らかにその兆候であります。決して日本の総体的企業群が、新しい産業構造に転換して株価があがったことではないわけです。(真のイノベーションベースの産業構造の転換があるならば、選挙の結果によって、数日間という短期でここまで激しく株価上昇しません、より長期的に株価上昇していくはずです)
ですから、僕はこの数日の株価上昇をみて、かえって残念に思えたわけです。大企業病を多く抱えた上場企業が、また「不健康な延命装置」によってハイテンションに息を吹き返してしまったようにうつりました。
もちろん、これらの大企業が真に元気でいてくれるのは、日本経済にとっても悪いことではないのですが、大企業自身の組織内構造改革によって元気になることと、自民党のバラマキ効果から企業努力なしのビタミン剤が投下されて元気になることは、まったく別物です。前者は日本経済を長期的に牽引していきますが、後者は大企業の真の生存力・成長力を奪ってしまうだけでなくベンチャー企業等の発展余剰、市場空間も奪ってしまうことになります。
以上の2つの要素について問題意識を僕は持っていますが、上記の考えを踏まえて日中関係だけにフォーカスしてみれば、今後、日中外交課題は大きく解決していくか、または、さらに大きな深い溝となっていくかに短期間で振れてくると思います。例えば、現状のまま一年間停滞ということはないはずです。
そして、こうした政治的な日中関係に影響をうけながら、日本市場がよりいっそうの大企業寡占的な状態・飽和状態になっていき、同時に実態の消費は回復しない日本市場を避けて(飽和市場・消費低迷継続の二重苦)、日本の中小・ベンチャー企業は中国(を含め他国)へと進出が増加していくように思われます。そして、中国企業(を含め海外企業)の日本市場進出・対日直接投資は増加する要素を持ちません。
いくつか問題点を指摘しましたが、安倍政権が硬軟を巧みに使い分けて多くの外交交渉を成就させ、ゾンビ的大企業だけの延命にならないよう日本経済の構造分析と適切な処方箋を出せるように期待したいと思います。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年12月20日