安倍氏は山積する国内政治、経済、社会問題を前に、古臭い緊急経済対策を打ち出した以外、現在までなんら特効薬を出していない。一方、外交分野では一連の動きに出ている。その最たるものが日本メディアが喜んで取り上げる「戦略的外交」だ。(文:賈秀東・中国国際問題研究所特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
「戦略的外交」は首相就任前後の安倍氏と米国、オーストラリア、英国、ロシア、インドネシア、インド、ベトナム首脳との電話会談、韓国、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、ブルネイ、オーストラリアへの特使や副首相、外相など閣僚の訪問によって鳴り物入りで始まった。続いて最初の訪米が実現しない中、安倍氏本人がベトナム、タイ、インドネシアのASEAN3カ国を近く訪問する。
日本メディアは報道や論説の際「安部政権による外交上の対中『牽制』であり、対中『包囲網』の構築だ」と付け加えることを忘れない。
こうした論評を見ると、どうしてもある笑い話を思い出してしまう。ある将校が1人の兵士に「もし山頂で敵一個分隊と遭遇したら、お前はどうするか?」と試問したところ、兵士は「私は直ちに彼らを包囲します」と答えたというものだ。
もし「戦略的外交」が日本とこうした国々との二国間関係を改善し、発展させ、日本の対外貿易・投資を促進し、日本の「経済再生」に有利な外部環境を築き、日本の国際的地位と大国としての影響力を高めるためだけのものであるなら、過度に非難すべきものでもない。だがもし関係国との「合従連衡」を通じて、対中「牽制」「孤立」さらには「包囲」という戦略的意図を達成することで、釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題で中国に対する戦略的優勢を形成することも期待しているのなら、日本は失望することになるだろう。
第1に、中国は筋が通っている。釣魚島問題では日本の挑発が先で、中国の反撃は後だ。ましてや日本が不当で非合法な手段によって釣魚島を奪い取った歴史があるため、日本が自らのロジックを国際社会の他の国々に信じさせることは困難だ。安倍氏とその内閣はすでに国際世論において「極端な民族主義」と「タカ派」のレッテルを貼られている。対中強硬姿勢を選択すれば、地域に緊張と不安定をもたらしていると国際世論から認定されるだけだ。