中国経済の構造的欠陥、アキレス腱も見えてきた。(1)格差(個人、企業、地域)は拡大し、現在都市住民の可処分所得と農村住民の純収入は約3.3対1.0、上海と貴州の1人当たりのGDP格差は十数倍になる。(2)成長は環境破壊を招き、それは限界に達している。(3)エネルギー問題(前近代的な一次エネルギー構造、エネルギー不足、エネルギー効率の悪さ)。(4)少子高齢化に伴う諸問題の顕在化。(5)社会主義市場経済の中で深刻化する権力者の腐敗問題。
胡錦涛指導部は「調和のとれた社会」の建設を打ち出した。この中心は格差問題の緩和、解決であり、成長第一主義からの脱却である。具体的には、産業構造を労働集約型からハイテクなどの高付加価値産業・サービス業への転換、輸出入構造の転換、輸出先の分散化であり、内陸部農村地帯の都市化である。グリーン革命(脱環境破壊)も進めなければならない。省エネも不可欠だ。さらにすでに少子高齢化社会に突入した中国は、今後経験したことにない様々な問題に直面するだろう。中国の優位性もある。それは豊富な外貨準備であり、豊富な労働力(農村の過剰人口は2億人とも言われる)の存在であり、まだ十分掘り起こされていない内陸部の潜在的内需だ。そして、13億人のマーケットは、「チャイナ・リスク」が問題になろうが、やはり各国にとって大きな魅力には違いない。
今年前半に発表されたHSBCのレポートによると、21世紀半ば頃の世界各国のGDPを、中国25兆ドル、米国22兆ドル、インド8兆ドル、日本6兆ドルと予測している。これは明らかに「二強時代」だ。