文=コラムニスト・中川幸司
なんだか、ふらっとネットを見ていたら『中川幸司氏―日本の中小企業はアベノミクスなんかに期待して『鎖国』するより中国市場に進出すべき』というような文言が突然目に飛び込んできましたので、ちょっと訂正をしておいたほうが良いかなと思いました(・_・;)
これは僕が前回チャイナネットさんに寄稿したブログ内容(関連ニュース:鼠色の雲。一筋の光よりも、雲の上の暁を。)についてのみなさんの反応、ご意見なようですが、僕は、「言葉とムードだけが先行しているアベノミクスの方向性は定まっておらず当時ブログを寄稿した時点において不確実の塊だ」という主張はしていましたが、「アベノミクス=日本鎖国」という完全一致の図式は主張しておりませんし、安倍政権には鎖国志向はないと見ています(そもそも、ここでの鎖国という定義が曖昧ですが・・・)。前回のブログで書いたのは、政策ということではなく中小企業さんの内向きに籠り気味なムードでした。
すくなくとも「アベノミクス」と呼ばれているものは、これまでのところ株式市場的に上昇ムードをつくりやすい財政産業政策についての総花的なもので、タイミングとしてもまだ前回の衆院選後のテストラン段階であります。また、産業政策だけの内容についてみれば、国際競争力のある加工貿易をさらに(少なくとも元の高水準に)伸ばしましょう、ということと、新規産業にイノベーションをおこしましょう(クールジャパン戦略もここに含まれる)、という2点が主要なところなのだと思いました。ですから、僕の解釈ではアベノミクスは産業政策においては敢えて言うならば、鎖国というよりもむしろ開国に近い議論をしていると考えています。
僕がアベノミクスの部分的批判として語っていたのは、FDI(日本国外向けも、日本国内向けも)に関する、特化した議論がないということです。
ですから、『中川幸司氏―日本の中小企業はアベノミクスなんかに期待して『鎖国』するより中国市場に進出すべき』ということはまったく当てはまらず、「アベノミクスはまだ具体性に欠け、(1)旧来型の貿易発展による産業成長の議論はあるものの、(2)特にイノベーション戦略はナレッジマネジメントの概念が弱く、また、(3)FDI自由化ベースの産業成長についてはほとんどみえてこない。故に、中小企業さんはアベノミクスにかかわらず例えば大きな市場成長ある中国などへもFDIの検討をどんどんしてみましょう」という議論をもってきたものです。決して、僕は「アベノミクス=鎖国政策」と主張しておりません。
中川コージのブログ『情熱的な羅針盤』