中国国家観光局はこのほど、日本への渡航自粛令を解除した。しかし中国国内には、日本旅行の先行きを悲観する声が多く、ある業界関係者は「日本旅行が震災前の水準まで回復するには2年間かかる」との見方を示す。新華網が伝えた。
専門家は「日本は震災や放射能の影響で経済のほか、国のイメージも痛手を負い、観光業がそのあおりを受けた」と指摘。観光業の落ち込みは現時点で3-4割に達しているという。
河南省鄭州市の業界関係者は「鄭州から東京へのツアー代金は3800元(約5万8200円)前後。震災前の5000元(7万6500円)より大幅に値下がりしているが、それでも申し込みはほとんどない」と話す。
河南省では震災前、香港や澳門(マカオ)などより手ごろで質の高い日本ツアーは、旅行会社の主力商品だった。それが現在は予約がほぼ白紙状態。旅行会社もすでに見切りをつけ、中国共産党革命ゆかりの地を巡る「紅色観光」など国内で人気の旅行商品にシフトしている。
某大手旅行会社に勤める陳萍さんも「会社で扱う日本ツアー商品は現在ほぼ足踏み状態。ほかの商品に力を入れている」と説明。「放射能の影響が尾を引き、震災前の水準まで回復するには、2年間は必要だろう」との見方を示す。
別の旅行会社でも日本ツアーは閑古鳥が鳴いている。ある社員は「放射能は火土石流や雪崩などの一般的な災害とは違い、恐怖心がすぐに消え去ることはない」と話す。
短期的には悲観的な見方が多いが、長期的な見通しについては「質の高い日本旅行が回復するのは時間の問題」とする前向きな見方が強い。
「人民網日本語版」2013年3月10日