「3・11東日本大震災」からちょうど2年がたち、被災地復興の活力を象徴する岩手県の有名な「一本松」が奇跡の「復活」をとげた。だが、被災地が本当に復活するにはまだ活力が足りないようだ。不景気のシャッター商店街、さみしい建設現場、荒れた駅舎、人気のない埠頭、活気のない海……見るものすべてから日本の被災地復興の活力不足が感じられる。
心のきずな
2011年、「絆」(きずな)という文字が日本の今年の漢字に選ばれた。この「絆」は被災地とそのほかの地域とのつながりが永遠に切れないことを意味していた。だが、2年が経過し、絆で結ばれた心や情熱はまだ存在するものの、絆の人気は冷めてきている。
初期のころの被災地支援の盛り上がりが冷めてくるにしたがって、被災地復興への関わりは募金やボランティアから被災地への観光や商品購入にシフトしてきた。だが、経済の低迷や放射能汚染の懸念から被災地への観光や商品購入の盛り上がりはいまひとつ欠けている状況が続いている。
被災地商品の購入のかけ声に呼応し、国民の放射能に対する懸念を払しょくするために、国会議事堂の食堂で今後数年間、福島産の米を指定して使用することを率先して発表した。
被災地への観光広告もこれまでになくにぎやかだ。東京都心の駅では、どこを見ても被災地への旅行ポスターやスローガン「いま行かなくて、いつ行くんだ」が掲げられ、被災地への観光で現地の経済を応援しようと呼びかけている。
だが、観光支援の効果はまだはっきりしていない。震災から2年がたっても福島原発事故の影響もあり、国内旅行はまだ7割しか回復していない。
福島県人がフクシマの安全を訴えれば訴えるほど、訪れる人は懸念を増してしまうという。福島県観光復興課の笹川純也主査に取材すると、福島の観光回復までにはまだ長い道のりがあるようだ。
「傷痕」への観光