左から右へ順に汪婉大使夫人、程永華大使、李文亮総領事、新郎の小林隆之さんと新婦の岩田亜紀さん
3月24日の午後6時過ぎ、長崎市内のホテルニュー長崎3階の「鳳凰閣」東の間で、明かりがきらめき、杯が酌み交わされている。長崎県が主催する「孫文と梅屋庄吉夫妻三人銅像の除幕式祝賀会」のムードは最高潮に達していた。
午後7時頃、メインテーブルにいる除幕式で來県した程永華中国駐日本大使と李文亮中国駐長崎総領事が突然耳打ちする光景が見られた。李総領事は会心の笑みを浮かべ、ペンを取り、紙に何かを書いた。そしてその紙を同じテーブルの中村法道長崎県知事に手渡した。中村知事はその紙を見ると、李総領事に向かって「OK」のサインを出した。その後、程大使ご夫妻、李総領事と中村知事の4人は席を立ち、会場を出た。
4人は隣の会場に向かった。いったいどういうことだろうか。程大使と李総領事はその日の祝賀会開始前、ホテルのスタッフから隣の会場でも同じ時間帯に宴会があることを聞いた。それは、日本人カップルの結婚披露宴である。ホテルのスタッフが何気なく言ったことが程大使たちの心にとまった。程大使はその場で秘書に、荷物の中からパンダのつがいのぬいぐるみをこの新婚夫婦の祝福のプレゼントにするよう指示した。
ホテルのスタッフの案内で、程大使ら一行が隣の会場のドアをそっと開けると、結婚披露宴はちょうど最高潮を迎えたところだった。その一瞬、会場の雰囲気は急に固まり、みんなの視線がこちらの「招かれざる客」に集中した。程大使はこのいぶかしげな視線に向かって、スタッフの手からマイクを取って、日本語で新郎新婦にこう話した。「私は中国駐日本大使の程永華です。本日はちょうど隣の会場で『孫文と梅屋庄吉夫妻銅像除幕式祝賀会』に出席しているところです。偶然にこちらで結婚披露宴があると聞いて、それは深い縁だと思い、一言お祝いを申し上げたいと思って入ってきました。結婚おめでとう、どうぞ末永くお幸せに。」その後、大使はマイクを夫人に渡して、大使夫人も新婚夫婦を祝福した。