読売新聞は、わが国でもっとも販売量の多い、つまり購読者がもっとも多い全国紙である。つまり、その論説は読者をミスリードしないように、くれぐれも慎重かつ誠心誠意の内容であってほしい。
もっとも、私の理解では、読売新聞は自民党の機関紙であり、自由新報の別動隊であると思うが、少なくとも読売新聞自身がそのように公言していないので、中立だと勘違いしている購読者が少なくないかもしれない。
読売社説(4/1)「4.28記念式典 《主権》の大切さ考える日に」は、本来書くべきことを書かず、論点を領土問題にこじつけ、いわゆる感情的愛国心の宣揚に引っ張り込む危惧があるので、問題点を指摘する。
1952.4.28を「真の意味での《終戦の日》と位置付けることが出来よう」という表現には、書くべきことがすっぽり抜け落ちている。論説子たる者、歴史の勉強をしていないはずがない、とすれば誠心誠意が脱落している。
そもそもサンフランシスコ講和条約(1952.4.28発効)は、純粋な国民が全面講和を心から期待したのに対して、当時の吉田内閣が片面講和に見切り発車し、なおかつ日米安保条約を勝手に締結したのである。
真の意味での終戦というのであれば、1931年から15年間も侵略戦争を続けていた相手・中華人民共和国との講和条約を締結するのが当然の筋であるが、蒋介石の台湾を選んで、以て1972年まで国交を回復しなかった。
米国ローズベルト大統領の要請で太平洋戦争末期に対日参戦したソ連も、米国の勝手な講和条約に反対して締結に参加しなかった。戦争国との講和が終わっていなかったのは間違いなく客観的事実である。