■日本の引き立てを得たミャンマー
日本がこれほどミャンマーを引き立てるのはなぜか?「ミャンマーの地政学的位置、豊富なエネルギー資源という2つの客観的要素が、日本および米国など西側諸国が次々に同国との関係を強化している重要な原因だ」。中国社会科学院日本研究所の厖中鵬氏は国際金融報のインタビューに「ミャンマーは南アジアと東南アジアおよび中国南西部の結合部に位置し、南アジアと東南アジアおよび中国南西部の陸上交通の要路であり、自ずと地政学的・戦略的に重要性を持つ。ミャンマー最南端のメルギー諸島は世界の海上石油輸送の要衝であるマラッカ海峡の最北端を守っている。また、西部と南部がベンガル湾に面していることもあり、ミャンマーは『陸海兼備』の優良な地政学的・戦略的位置を占める。しかもミャンマー本土は石油と天然ガスなどのエネルギーおよびタングステン、スズ、ニッケル、鉄、銅、宝石などの鉱物資源を豊富に埋蔵している」と説明した。
ミャンマー自体の持つ客観的要因以外に、より深いレベルの要因も軽視できない。厖氏は「ミャンマーのここ2年の政治体制転換、特に『民主の闘士』アウンサンスーチー氏の政界復帰により西側諸国は『ミャンマーは価値観が近い国であり、関係を発展させることができる。ミャンマーとの関係強化は政治転換の褒美、アウンサンスーチー氏ら野党への励ましと見なすこともできる』と考えるようになった。このほか、ミャンマーは中国と深い関係にある。中国とミャンマーは近年、両国を結ぶ石油・天然ガスパイプラインを建設している。このパイプラインは中国の雲南省昆明市へ通じ、中国南西部陸上の重要なエネルギー大通路となり、マラッカ海峡のエネルギー輸送をめぐる苦境から脱する打開策を中国に提供する」と指摘した。
厖氏によると、以上の要因から見て日本がミャンマーとの関係発展を加速しているのは、第1にエネルギー危機解決に向けてエネルギーを輸入するため。第2に日本経済、特に日本企業の中国への投資集中による経済的リスクを分散するため。日本にとってミャンマーは輸出促進対象国の1つだ。ミャンマーは後発国で、日本など西側諸国の投資を急いで必要としている。ミャンマー経済は急成長が見込まれるものの、電気、水道、道路などインフラ整備が遅滞し、投資環境はまだ整っていない。第3に中国とミャンマーを引き離し、中国南西の後方に戦略上の楔を打ち込み、中国とミャンマーのエネルギー協力を牽制し、妨害するため。第4に米国と歩調を合わせるため。米国と歩調を合わせてアジア太平洋地域での影響力を強化する意図は濃厚だ。
■期待通りにはいかない可能性