■期待通りにはいかない可能性
それだけではない。多くの発展、成熟した国から見てミャンマーは若い国でもある。ミャンマーは5500万人余りの人口を擁し、その大多数が若い労働力人口だ。ミャンマーに投資することで「豊富な労働力」の強みを享受することができる。しかも労働者の年間人件費は1100ドルで、周辺国のバングラデシュの1478ドル、ベトナムの2602ドル、タイの6704ドルと比べると、東南アジアで最も安上がりな製造業センターとなる資格を十分に備えている。
だがミャンマーは経済的に立ち後れた国だ。特に交通や通信などインフラ整備は大変立ち後れている。厖氏によると、日本企業の懸念を取り除き、後押しするために、日本・ミャンマー両国政府はまずインフラ整備で協力しなければならない。だがミャンマーは政治的移行を果たしたばかりで、国内政治は非常に複雑なムードにある。2015年に大統領選が予定されているが、アウンサンスーチー氏の指導する「国民民主連盟」が勝利できるかどうかはまだ不透明だ。国内では各勢力が次期大統領選に向けて競い合い、複雑な様相を呈している。また、イスラム教徒と仏教徒の対立も激しく、昨年は流血の衝突も起きた。北部反政府勢力と政府軍の対峙をどう解決するかも非常にやっかいな問題だ。ミャンマーという情勢の予測しがたい国に足を踏み入れるのは、日本にとって将来への懸念が残るものだと言えよう。
「経済外交の重心をタイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシアなどのASEAN諸国に転換するのなら理解できる。こうした国々は政治的に安定しているといえるからだ。だが日本企業がミャンマーに投資を転換した場合、投資を回収して収益を上げられるかどうかは何とも言えない。日本とミャンマーの突然の関係強化は、経済的要因よりも政治的要因の方が大きい」と厖氏は言う。
「人民網日本語版」2013年5月28日