京都大学教授、大阪市教育委員会委員の西村和雄氏の研究チームは2011年に、次のような調査を実施した。同調査の対象となったのは、45歳以下の大卒の学歴を持つ6937人の社会人だ。この6937人のうち、74.4%の5162人はセンター試験により大学に進学しており、17.9%の1244人が推薦などにより大学に進学した。また7.7%の531人は、帰国子女特別試験などを受験した。
いずれも大卒者でありながら、センター試験を受験した5162人の現在の平均年収は470万504円で、受験しなかった1775人は394万514円となった。
同研究チームは、「センター試験を受験しなかった学生は高校3年生の2学期末に合格が決まっており、3学期に真面目に勉強することはほとんどない」と分析した。一方でセンター試験を受けた学生は「一本の丸木橋に押しかける大軍」のようなもので、真面目に勉強しなければならない。これにより大学での学習能力に差が生じ、そのまま就職と出世に影響する。センター試験を受けたことのある学生は、職業上での成功者になりやすいようだ。
産経新聞の安本寿久編集委員もまた、「大学入試の多様化により、子供たちは学習の積極性と人生の試練を受ける機会を失う。少子化の今日、子供は貴重な人材であるため、大人たちは厳しい教育の観点を失ってはならない」と指摘した。
センター試験のある世界は「残酷」であるが、これを廃止した世界もまた、想像したほど美しい世界であるとは限らない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年6月9日