京都は日本で現存する最も歴史が長い古都である。中国・唐代の西安や洛陽の様式に照らして作られたこの町は1千年以上の歴史を持ち、平安時代の風情や習慣をとどめている。日本の伝統文化を集中的に体現する町でもあり、京都の建築物は非常に巧みで、環境は静かだ。
こうした都市はもし中国なら、「現代的」ではないという理由でとっくに「改造」されていたことだろう。過去30年の間、中国の経済発展は非常に速く、都市の範囲は拡大を続け、高層ビルがあちこちに林立した。高架橋や高層ビルは現代化のシンボルだった。これに対して日本をあまり知らない人が日本の京都の風景を見ると、まるで日本が依然として農耕文化の時代にあるかのように思うことだろう。目立つランドマーク的な高層ビルもなく、縦横無尽に走る高架橋もなく、表面的には全く「現代的」に見えないためだ。
京都を俯瞰すると、非常に素朴で地味な町に見える。都市の色彩の基調は落ち着いた灰色で、色彩面からは住民の色彩に対する雅な素養が見てとれる。住民はみな都市が千年以上にわたって引き継いできた色彩の秩序を維持することを意識し、都市での色彩の利用に非常に慎重な態度だ。都市全体で最も鮮やかなのは神社の前の鳥居の色で、他の場所はいずれも落ち着いた灰色だ。こうした色彩の強烈な対比は日本人の精神的な信仰をも表すものだ。わずかな鮮やかな色が画竜点睛のような役割を果たすのだ。30年ほど前の北京の色彩のイメージは京都と同じく静謐で、色彩の利用に技巧があり、非常に雅だった。京都の都市の風貌から、日本人の伝統文化に対する尊重をうかがうことができる。