私は2009年に『私たちの戦争責任』という題名の本を刊行した。この本で私は、日本政府と日本人は日本が歴史上発動した侵略戦争に対して確かに責任があることを、日本の若者に向けて繰り返し強調した。過去の侵略戦争を否認、曲解してはならない。過去の戦争に対して直接の責任がない現代の日本の若者には、未来の戦争や紛争を阻止する責任がある。(文:纐纈厚・日本国立山口大学副学長、人民日報掲載)
ドイツの著名な作家ラルフ・ジョルダーノは侵略戦争の歴史を正しく伝えない姿勢を「第二の罪」と呼んだ。侵略戦争の否定は歴史の見直しと否認につながる。正しい歴史認識を持たなければ、国家が将来再び侵略戦争を発動することに無関心になる。正しい歴史認識を持たなければ、健全で平和的な国家と社会を構築するすべがなく、非常に悪質な影響が生じる。
遺憾なことに、現在の日本の若者は近現代史を正しく理解する意欲が強くない。その反対に、過去の戦争に対して全く無関心な若者が増えている。私はずっと大学で日本近現代史を教えており、歴史事実を真剣に学び、歴史を教訓として平和な未来を築く原動力が日本の若者に欠落していることを身をもって感じている。原因は日本の近現代史教育が不十分なこと、それにもまして日本政府および一部の国家指導者が歴史を正しく認識する姿勢を欠いていることにある。侵略戦争の歴史事実を否定し、過去の戦争を「正義の戦」と見なし、「大東亜解放戦争」だったと強調する……侵略戦争肯定論者が日本では大手を振っている。
少し前に靖国神社を参拝した国会議員は、まさにこうした戦争観を持っている人たちだ。日本の若者はこうした参拝行為に少しも関心がなく、気にかけない。もし正しい歴史認識を持っていたら、こうした参拝行為に反対しに行くはずだ。