釣魚島など領土、海洋権益をめぐる中日間の争いにおいて、安倍氏はかつて中日間に釣魚島問題の棚上げ合意があったことを否認する前政権の立場を継承。釣魚島係争の存在を頑として認めないうえ、中日首脳の対話が実現できない責任を「一貫して対話に条件を設けているからだ」と中国側になすりつけている。
安倍氏が歴史を歪曲し、中国の顔に泥を塗るのは、軍隊および戦争を行なう権利を再び保有し、かつての「輝き」を取り戻すべく、日本国憲法を改正し、日本をいわゆる「普通の国」に変えることが根本的目的だ。安倍氏からすると中国は、こうした「夢」を実現するうえで最大の「邪魔者」であり、日本の外交的苦境の最大の外的要因だ。
日本がこうした苦境から抜け出す、あるいは「包囲を突破」するための安倍氏の処方箋は、中国を牽制し、さらには「封じ込める」ことだ。そこで安倍氏は戦略構想「民主主義安全保障ダイヤモンド」を打ち出し、「価値観外交」を推し進め、「中国脅威論」を囃し立て、釣魚島問題で「妥協せず」の姿勢を示し、しかも就任早々からいわゆる「戦略的外交」に着手し、自ら取り組み、その外交構想「中国封じ込め」を実行に移した。安倍氏は現在、中国と領土係争を抱える国と連携して中国に対抗すると公然と主張している。まさか「8カ国連合軍」をやりたいとでも言うのか。