このところ、人々が目にする中国と日本に関するニュースの多くは、東中国海の島嶼の領有権をめぐる中日間の緊張状態が日増しに深刻化している、或いは中日の船舶が対峙しているというような内容であったり、さもなければ日本の安倍晋三政権が「中国脅威論」を吹聴してるといったものである。
しかし、一方で国民は今までと変わらない平凡な日々を送っている。茨城県でほうれん草の収穫に精を出している北島さんは、この農場の主である。この農場で働いている人々は、経営者の北島さんを除いて、他は皆中国人である。これまで10年間にわたって、北島さんは多くの中国からの「研修生」を雇ってきており、「彼らがいなければ、農場経営を続けていくことはできない。日本の若者はこのような仕事には就かない」と話している。
中国中部地域の貧しい村から出稼ぎにやってきた若者と肩を並べて働くうち、北島さんは隣国の中国に対して、これまでとは違った新たな尊敬の念を抱くようになった。北島さんは「研修生たちと一緒に働いていると、彼らの純粋さや誠実さを感じることができ、我々よりひと世代昔の古き良き時代の日本人の姿、助け合いの精神を思い出させてくれる。現代の日本ではもう既に失われてしまったものである」と話す。
北島さんが中国から働きに来た彼らを「研修生」と呼んでいるのは、彼らがここで農業を学びながら、住み込みで働くことができるのは3年間だけだからである。現在、日本国内には彼らのように農家や工場で働く「学生」が少なくとも10万人いる。
日本にやって来て、居住する中国人はますます増えている。1990年、日本に在住する中国人はおよそ15万人だったが、現在ではその数は70万人を超えている。この数字を聞いた日本人の大半が、中国から移住してくる人がここまで急速な勢いで増えていることに驚く。
郭さんも日本にやってきた中国人の1人である。28歳の郭さんは不動産会社に勤めており、東京の不動産を中国人投資家向けに紹介する仕事をしている。
「毎週、2,3人の中国人客が東京の物件を見に飛行機でわざわざやってくる。皆、グローバル化と近代化が進んでいて、その上清潔なこの都市が大好きである。実際、東京の不動産価格は今や、北京や上海よりも安くなっている」と郭さんは話す。中国と日本の間では政治的な問題が深刻化しているものの、それでも東京に物件を買いにやってくる中国人顧客は減少するどころか増える一方であるという。