「コンパクト」および「日本車」に関する中国人消費者の位置づけと認識は、ヤリスが難関を突破できない二つの重要な原因だ。自動車にとって、コンパクトは問題ではない。ルノー2CV、フィアット500などの自動車産業の歴史に残る名車はいずれもコンパクトカーだ。しかし「コンパクト」と日本車が、中国の伝統的な認識の中で重なり合うことで、問題が生じるのだ。
調査によると、消費者が10万元クラスの高級コンパクトカーを選択した理由のベスト3は、「若者向け」、「個性的」、「技術」の順となった。そのうち81%の消費者は、技術的な中身を最も重要な要素とした。同じコンパクトカーでも、ドイツ車は月間販売台数が1万台弱に迫っている。これは人々が独特かつ他にはない技術的な中身を持っていると認識しているからで、「コンパクト」には気を留めていない。しかし人々の日本車に対する印象は、低燃費や高いコストパフォーマンスで、技術面ではやや劣るような感覚があり、自然と魅力を失っている。
日本のコンパクトカーは中国で好調な販売を実現しようとするならば、技術力を高めるか、サイズを拡大することで、上のランクの市場の消費者を引き付けるべきだ。広汽トヨタはこの点を意識したらしく、新型ヤリスは「一挙両得」と言える。まず運転席の六段階調節、EPS(電動パワステ)、クルーズコントロールなどのハイスペックにより、技術的中身を増加した。さらに幅2550mm、全長4115mmというサイズは、現在のコンパクトカーに対する脅威となる。特に注目すべきは、新型ヤリスの価格は7万元からと割安で、まさに鬼に金棒だ。
また広汽トヨタは新型ヤリスのマーケティングに力を入れた。新型ヤリスは金志文や陳楚生などの若者に人気のスターをイメージキャラクターとし、全国30都市で音楽のイベントを展開した。このイベントのために、同社は大金を惜しまなかった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月10日