◆読者(視聴者)であり、発信者でもある
日中対立を打開するには、メディア同士の努力はもちろん重要だが、受け取る側の人たちにも考えるべき点があると思う。インターネット時代の新しいメディアであるフェイスブック、ツイッター(中国では「微博」)などが従来のマスメディアに比肩するほどの発展を見せる中で、我々は、できれば両国民全員がそれら新しいメディアを活用し、自ら発信者になってほしいと考えている。
本書のタイトルを公募したところ、ある読者から「さらば、日中対立」という案が寄せられた。この言葉が現実となる日を迎えるため、また、より希望ある日中の明日を迎えるためにも、両国民に日中報道の第一線で奔走する特派員から学び、相互理解に有益な情報を発信してもらいたいのだ。
筆者は東京を拠点に、出版活動や中国人を対象とした日本語作文コンクール、日本人及び在日中国人向けの「星期日漢語角」(日曜中国語コーナー)などの活動を行っているが、本書の読者各位には「日中関係改善のための発信者の会」の設立を呼びかけたい。日中という引っ越しできない隣人同士が〝ウィン・ウィン〟の関係を築くためには、お互いが尊重し合い、気持ちを通わせながら関係を築いていくことが必要ではないかと思う。
冒頭の世論調査結果が発表された前日の八月四日、朝日新聞が、東京・西池袋公園で開催された「星期日漢語角」が三百回を迎えたことを大きく取り上げてくれた。当日午後開催された記念式典に参列いただいた元新華社記者で現中国大使館一等書記官・鍾瀋軍氏は、星期日漢語角について「日中関係が悪化した時でも交流が続き、日中間には固い絆があると改めて感じた。これからも日中のより良い関係づくりに向けて取り組んでもらいたい」と感想を述べられた。このコメントはNHKニュースでも紹介され、主催者である筆者は大変励まされた。
今後もこのような地道な草の根交流を継続し、お互いの親近感を少しでも強め、深めることができるよう、さらに努力したい。
皆さん、ぜひ「発信者」として、日中対立を打開するため共に尽力しようではありませんか! (段躍中・日本僑報社編集長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月13日