米国は、今回の飛行(米戦略爆撃機「B52」2機が東中国海の防空識別圏を通過したことを指す)は以前からの計画だったと発表した。しかし、これは間違いなく中国側の同空域に対する実効支配権は認めないという異議申し立てだ。日本もおそらくこれと同じ手段をとるだろう。
そこで、これに中国がどう反応するかが重要な問題になってくる。識別圏の設定を発表した際、中国側は米国と日本の戦闘機が同上空に進入してくるのはわかっていたはずだ。北京の米国に対する最初の反応は、「中国空軍が航空機の飛行を確認した。必要であれば、空域を管轄する能力がある」という声明を発表するにとどまった。そして中国国防部も「『スホイ30』と『殲11』が同区域をパトロールした」とだけ表明した。しかし重要な問題は、中国が今後この区域で間違いなく起こる違反行為に対してどう反応するかだ。
はっきりしているのは、日本と武装対抗すれば、米国との武装衝突も回避できないということだ。これは中国の利益に一致しない。日本の軍事力は大きくはないが、装備・技術や軍人の資質は一流だ。その基地から遠くない東中国海地域では日本側がかなり優勢だ。局部的な軍事行動で自らの優勢を示し、自らの領土権を確定するのは中国にとって相当複雑なことだ。大きな軍事行動による影響は極めて大きく、予測不可能といえる。
今後状況が発展すれば、中国が係争区域に戦闘機を派遣し、同区域に進入した外国の戦闘機を妨害するなどの可能性がある。武器は使わないが、恐ろしい行動をとるかもしれない。そうした行動はどこでも見られる光景で、ロシア方面もよく遭遇することだ。例えば本国の偵察機と爆撃機を派遣して他国の海岸に接近するなど、冷戦時代にはそうした実践が流行していた。