日本の安全政策の「積極的な」調整により、歴史問題について米国に沈黙を維持させることができる。安倍首相はそう考えているかもしれないが、日米同盟は歴史問題同盟ではなく安全保障同盟であり、米国には歴史認識について日本に同情する人は存在しない。米国の外交における理想主義的な道義には偽善的な面もあるが、米国が基本的な道義・準則を捨てることはない。また参拝が北東アジア情勢をさらに緊張させることから、米国の安全利益にとっても現実的な脅威となる。安倍首相は就任以来、日米同盟の強化を高々と宣言しているが、参拝により結果的に日米関係が弱体化することになる。
最後に日本国内から見ていこう。参拝はようやく得られた内政の安定に亀裂を生じさせ、貴重な政治資源と精力を分散化させ、景気回復の実現という最も重要な政治目標を揺るがすことになる。安倍首相の再任を実現した、主な民意の基盤には次の二点がある。まずは経済回復の期待、それから政治安定の願いだ。自民党は衆参両院で多くの議席を占め、長年に渡る政治不安定に終止符を打った。これは大胆な経済改革に対して、貴重な政治資源を与える。しかし靖国神社問題に対する観点を巡り、日本国内ではこれまでも深刻な対立が存在していた。アベノミクスの重要な時期に、参拝は日本の政治・社会の輿論の分裂を招き、得難い発展のチャンスを逃すことになる。経済成長と国際競争力が確保されなければ、日本の国家利益については論じることさえできない。
安倍首相は、靖国神社参拝は日本の長期的な国家利益のためだと説明するかもしれないが、周辺外交、日米同盟、内政・経済のいずれの面から見ても、参拝の客観的な結果は、その主観的な願望と正反対になる。安倍首相は自分の利益のためだけに、日本の国家利益を損ねたのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年12月30日