今年、「中国のおばさん」がウォール街のドンと金市場で一大決戦を演じ、国際社会にその存在感を知らしめることとなった。実は20年前にも、個人FX(外国為替証拠金取引)投資家の「ミセス・ワタナベ」と呼ばれる日本の主婦も金融市場で大きな影響力を振るい、後に軽視できない投資グループとなった。資産運用の素朴な智恵であれ、専門的な投資スキルであれ、「ミセス・ワタナベ」も「中国のおばさん」も主婦投資家の模範として、一般市民の富の増加と個人投資家の成長、成熟を証明することとなった。
FX主婦投資家の影響力とは
90年代末に起きた金融危機後、日本は長期的に超低金利ないしゼロ金利政策を実施し、本来銀行の利息に頼っていた主婦も別の何らかの資産運用方法を考えざるを得ない状況になった。そこで最も手をつけやすかったのが、手元のお金を外貨に換金し、利息の高い海外の銀行に移すというやり方であった。その後日本の主婦は次第にFX市場を動かすほどの大きな力をもつようになる。
2000年に入り、東京のインターバンク市場にて為替相場の方向性が午後になると相場を反転させる大きな要因はないにもかかわらず反対方向へ振れ、混乱するという現象がしばしば見られるようになった。原因を探っていくと、各家庭の主婦が午前中の家事を済ませ、お昼ご飯を食べた後に一斉に円売り・ドル買いを注文していたことが判明した。日本の主婦の生活は規則正しく、全国の数百万という世帯の主婦が同時に動くことからこうした現象が発生した。調べでは、主婦はすでに日本のFX市場の3分の1を占めており、決して侮れない「主婦投資集団」となっているだ。
当時、日米の金利差は長い間5%に安定し、円とオーストラリアドルの金利差は2007年8月に一時6%に達していた。これに円安の影響が加わり投資収益率は非常に好調で、日本の主婦たちは挙って手元の円を売り、利子の高い銀行のオーストラリアドルやニュージーランドドルを買って現地の銀行に預けた。ニュージーランドの銀行員が日本人口座に「渡辺」の姓が多いことに気づき、FX市場の日本の主婦を「ミセス・ワタナベ」と称するようになった。