ケリー米国務長官は先般、故意に日本を避け、中国、韓国、インドネシアなどを歴訪することを発表した。日本への訪問を見送ったのは、安倍晋三首相の靖国神社参拝などといった日本政府の一連の言動に「不満だ」との立場を示す狙いがあるとして注目を集めている。しかし、ケリー国務長官はアジア歴訪の前、日本の岸田文雄外相とメディアに対し、「米国は、中国が東中国海に設定した防空識別圏を認めないし、受け入れもしない」と述べ、更には「中国が主権を主張する島などで日本が中国の攻撃を受けないよう守る」ことを表明している。
米国の対日戦略は放任的であり、戦略的なけん制が足りない。手綱を緩めすぎたことで、最終的には自業自得の結果を招いている。日本の右翼傾向が強まったのは、中国に対抗するためであることは明らかだが、米国に歯向う要素がないとは言い切れない。敗戦国である日本は戦後の国際秩序に挑戦し、米国を含む戦勝国から受けている戒めや束縛から脱却したいと考えている。歴史問題を蒸し返す日本の報復攻撃の対象に米国が入ってないとは考えられない。
日本が大義名分として掲げている「国家の正常化」に関して、他国は反対のしようがない。しかし、そもそも日本は何が「正常ではない」のか。
まず、日本は一主権国家として、その憲法は米国人のマッカーサが定めたものである。日本における軍国主義の再燃を防ぐため、マッカーサは日本国憲法に多くの規制を設けた。日本は正常な国防軍を有することが許されず、集団的自衛権の行使や交戦権も認められていない。日本が今、それらの規制を破りたいということは、実質上は米国の束縛から逃れたいということである。
次に、日本は主権国家であるにもかかわらず、自国の領土に外国の軍隊が駐屯しているのである。これは日本が長きにわたって苦々しく思っていることである。日本が一たび、「正常化」を進めた場合、一番最初に追い出されるのは他でもない、米国だろう。そうなれば、米国は手も足も出なくなる。