江原規由:改革深化を実践した『両会』

江原規由:改革深化を実践した『両会』。 今年ほど、倹約、質素、簡素が励行された『両会』はなかったでしょう。そんな『両会』の雰囲気を代弁していたのがペットボトルでした…

タグ: 両会 改革 深化 報告

発信時間: 2014-03-20 15:47:49 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

対外関係で投じる大きな一石

中国が2014年に7.5%成長を遂げると、経済規模で米国以外は未知なる領域であった10兆ドル台に突入します。対外関係では、2013年には貿易額で世界第1位(4兆ドル、世界120余国・地区にとって最大の貿易相手国)になっています。また、対中直接投資額は世界第2位です。中国の世界経済の成長に対する貢献率はすでに30%(2013年)に達していることなどから、中国経済の行方に世界の関心は高まるばかりです。

中国の対外関係について、『報告』では、“輸出入貿易総額を7.5%左右とする。中国(上海)自由貿易試験区(上海自貿区)の建設管理をうまく行う。高水準の自貿区(FTA)建設に積極参与する。中米・中欧投資協定交渉を推進し、韓国、オーストラリア、海湾合作委員会などとのFTA交渉を速める”としています。2014年の対中貿易・投資では、上海自貿区の行方が最大の注目点の一つとなるでしょう。

2001年12月、中国は念願のWTOに加盟、その後、世界におけるプレゼンスを高めてきました。現在,中国にとって,当時のWTOに相当するものは,世界各地に存在するFTAということになるでしょう。目下中国は、アジア・太平洋、とりわけASEANとのFTA構築で大きな成果を収めています。『報告』から,今,中国は中韓FTA,日豪FTA協定を締結し,TPP(米国主導)とTTIP(米-EU間)との連携の道を探ろうとしている姿勢にあることが読み取れます。

目下交渉中のTPPとTTIP(いずれも中国不在)が成立し中国包囲網が構築されれば、中国経済の発展、ひいては、『改革深化』に大きな影響が出るとする中国の識者は少なくありません。この点、韓国はアジアで唯一米国とEUとFTAを締結しています。オ-ストラリアはTPP加盟交渉国です。韓国、オーストラリアとのFTA締結は、TPPとTTIPの接点になります。また、米国、欧州(主にEU)との投資協定は、主に中国企業の対外進出に大きな意義があります。仮に、TPP、TTIPが成立しても、投資協定があれば、両地間の投資活動が積極化し、TPPとTTIPの中国へのマイナス影響を少なくすることが可能となります。海湾合作委員会(1981年成立。バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の中東6か国で構成)とのFTAは、目下中国が積極推進しようとしている新シルクロード経済帯建設の推進と大いに関係があるのではないでしょうか。新シルクロード経済帯は、FTA真空地帯である中国から欧州に至る中央アジアに、将来、TPPやTTIPにも相当する大FTAを誕生させる可能性を秘めています。海湾合作委員会とのFTAはその重要な部分として期待できるということになります。“すべての道はローマに通じる”という格言がありました。このローマを今の中国に求めるとしたら上海自貿区を有する上海ということになるでしょう。対外開放度の極めて高く、運営面で大胆な対外開放措置が採られている上海自貿区は、30余年前、改革開放の先陣を切った『経済特区』が、中国のWTO加盟に道筋をつけ、中国経済の国際化と世界経済の発展に貢献したように、世界でのFTA構築の動きに大きな一石を投じることになると期待できます。上海自貿区発の昔のシルクロードの夢をもう一度ということです。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年3月20日

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