安倍首相がアンネの家を訪問したのは、当然ながら即興などではない。これは年初に東京の公立図書館で、『アンネの日記』や関連書籍が意図的に破られた事件を受けたものだ。現在の統計データによると、この事件による被害の範囲には、杉並区、練馬区、東久留米市などの5区2市の36の図書館が含まれ、288冊が被害を受けた。
日本国内で発生したこの事件は、世界を驚かせた。戦後すでに半世紀以上が経過するが、人々の心には永遠の痛みが残されている。特にホロコーストについては、非常に敏感な事件であるため、冒涜できない問題となった。今回の書籍が破られた事件は不遜の極みであり、衆人の怒りを買った。日本の国際的なイメージは大きく損なわれた。
核安全保障サミットとG7首脳会談で忙しい日程が組まれていたが、安倍首相は時間を作りアンネの家を訪問した。誠意を示すため、安倍首相は参観中に「我々は謙虚に歴史の事実と向き合い、これを次の世代に伝えることで、世界平和を実現する」と言及した。安倍首相はこの動きにより、歴史を尊重し平和を愛する姿勢を世界の人々に示そうとした。
しかし安倍首相がわざわざアンネに会いに行ったからといって、願い通りの効果が得られるのだろうか?そうとは限らないかもしれない。
まず安倍首相の今回の「愛」を示す旅は、日本社会全体の右傾化に対する世界の懸念を払拭できない。日本国内で発生した事件は、単発的・偶発的な事件ではない。被害の範囲は広く、長期間継続されたことから、背後に黒幕がいるのではと推測されている。これは根深い日本の右翼勢力が裏でうごめくだけでは満足できなくなっており、社会のレベルから呼びかけようと試みていることを意味する。今後さらに常識はずれで無知な右翼勢力の活動が発生し続けることだろう。