トニー・アボット豪首相は先週、中日韓を初めて歴訪した。アボット首相は訪日中、国家安全保障会議特別会合に招待された、初の外国人首脳となった。アボット首相は、豪州の歴史を創造したと言える。
アボット首相がなぜ、この「異常」な正体に応じたかについては不明だ。しかし日本がこの機会を利用して自由貿易協定を取りまとめ、豪州を抱き込み中国対抗のコマとし、豪州を日本の右翼の戦車に縛り付けようとしたことは間違いない。
アボット首相は野党のリーダーに就任していた時期に、「日本との自由貿易協定交渉は中国より優先される」と発言していた。アボット首相は就任後、日本は「豪州のアジアにおける最も良き友」と熱意あふれる発言をしていた。今回の訪日の中で、安倍首相はアボット首相と、日豪が安全保障の協力を拡大し、防衛製品を共同開発することを確認した。
アボット首相の今回の親日的な発言により、日本は豪州を抱き込む際に、恐れるものがなくなる可能性がある。しかし実際にはどうなっているのだろうか。筆者は、日本の「ひとりよがり」であると判断している。
まず個人を分析していくと、アボット首相は野党のリーダーに就任していた時期に、政権与党の政策を真っ向から批判し、与党に多くの厄介事をこしらえた。しかし本人が首相に就任してから、どのような政策を施行するかは別の話だ。
次に中国は世界2位の経済体、豪州最大の貿易相手国だ。豪州の対中貿易額は、2位の日本と3位の米国の合計に相当する。日本との友好に取り組むことで、豪州と中国の関係を損ねるような、馬鹿な真似をする国は一つもない。中米日の大きな三角形の間に位置する豪州は、日和見主義的な外交政策を講じることが多いが、具体的な国家利益については絶対にあいまいな態度を取らない。