日本の軍事力強化は、高価な装備調達に偏重し過ぎで、国防部隊が装備を効果的に利用する能力を削ぐことにつながる。軍事専門紙ディフェンスニュース(電子版)が伝えた。
昨年12月に「国家安全保障戦略」を発表後、新防衛大綱で、5年ごと、10年ごとの武装力の枠組みと装備調達量が示された。それによると、日本は今後5年間で23兆9700億円を軍事力拡充に投入する。
日本戦略研究フォーラムのグラント・ニューシャム上席研究員は「調達計画はいい点もあり、計画を作成した人は本気だろうが、古いやり方を引き継いでおり、高額な軍事装備(F35やイージス艦、P-3C)ばかり調達して、それほど優れていないが国防の『穴』を埋めるのに有効な装備には見向きもしない」と指摘する。
同氏は、「防衛省はいま、空中と巡航ミサイル防衛の指揮と制御の一体化向上に迫られている。日本は個別の新鋭装備に巨額を投じているが、それでも第1列島線の持続的防空を維持できない。その理由は、いまだにF-15戦闘機のアップグレードをしていないからだ。この任務を遂行するには数十機のF-35では不足だ」とした上で、「日本の空対空ミサイルは『二流』で、作戦通信も戦術通信も米軍との通信を含め『間に合せで使っている』」と言及。
西南諸島はかなり分散しているため、与那国島に駐屯する少数の沿岸監視部隊以外、陸上自衛隊を配備しておらず、危険の真空が存在する。しかし日本にはこの真空を埋める軍事装備が不足している。
ニューシャム氏は、「防衛省は数機の無人機グローバルホークで日本の情報、監視、偵察の要求をほぼ満足できると考えているようだが、実際はそうではない。グローバルホークは役に立つが、万能ではない。別の装備も必要だ」と強調。