2014年05月16日15:27 2011年に東日本大震災が発生したのを機に、人間のより暗い部分を見せることが多かった映画監督・園子温監督の作風がソフトになった。例えば、「ヒミズ」(12年)では、ヒロインの茶沢景子が住田祐一と走りながら「住田がんばれ」と何度も叫ぶラストシーンが、127分にわたるどんよりとした空気を一変させた。新京報が報じた。
日本の映画やドラマで、人を励ます時によく使われる言葉が「がんばれ」だ。女性作家・新井一二三は、日本人の特徴に関して、「重要な事ほど、言葉で表現しようとしない。日本には互いの心から心に伝わるという意味の『以心伝心』という言葉がある通りだ。これは武士道の精神の影響だろう。『沈黙は金なり』は、今でも日本人が最も好きなことわざの一つだ」と指摘している。そのため、窮地に陥った時でも、「がんばれ」の一言で、全ての思いを伝えようとするのだ。
しかし、時代によって「がんばれ」の意味も異なる。1983年に放送されたNHK連続テレビ小説「おしん」の田中裕子演じる田倉しんのセリフ「がんばれ」は、角度を変えて考えると、戦後に日本経済が急速に発展したことへの称賛が含まれる一方、2012年の映画「ALWAYS 三丁目の夕日'64」(山崎貴監督) で、吉岡秀隆演じる茶川竜之介が叫ぶ「がんばれ」は、バブル経済崩壊を経験した日本への「なぐさめ」が含まれている。簡単な一言「がんばれ」も、時代や経済の状況によって、威勢のいい励ましの言葉から、低迷する現実を受け入れ自信を取り戻すための言葉へと変化するのだ。