多くの西側の観測筋は、中国が米国のアジアシフトの巧妙な罠にはまっていると判断している。中国の高圧的な動きは、隣国を米国の懐に押し込んでいる。これによって米国は中国周辺で軍事的な存在感を強め、かつ正当な理由により地域の安全保障国になることが可能だ。香港の日刊オンライン新聞「アジア・タイムズ・オンライン」が伝えた。
しかし筆者は、中国はすでにこれを見抜いており、南中国海で「運試し」をしようとしていると考えている。十分な数の島嶼を占領し、防御が困難な「牛の舌」状の領土での主権宣言(注:九段線内の区域)から、守りやすい島嶼および排他的経済水域に移る。これは中国の長期的な計画だ。長期的に見ると、中国の日増しに高まる経済・軍事力、係争を経済面に限定する能力、排他的経済水域の曖昧な定義と適用、中国が譲歩しないといった現実は、隣国に服従を迫ることになる。
筆者は、中国には釣魚島(日本名・尖閣諸島)を奪い取る、もしくは現状を変えるという現実的な狙いがあるとは考えていない。中国が緊張を引き起こすのは、日本の公然とした挑発的な対中外交政策に報復するためにすぎない。ゆえに東中国海で最も重要なのは、米国の中国抑制政策に積極的に協力しようとする日本の動きだ。中国は米日の仲を裂こうとしている。
日本は中国が挑発に激しい反応を示すことで、米国が日本に対する安全保障を拡大することに期待している。中国の戦闘機が日本の偵察機に接近した最近の「事故」は、その一例だ。西側メディアは、中国が挑発したとする日本政府の言い分を鵜呑みにしている。しかし中国は中ロ合同演習の前に飛行禁止エリアと航行禁止エリアを発表しており、日本はこれを無視して偵察機を飛ばした。