日本は、不安定な情勢や地縁・政治的衝突において火中の栗を拾うべきではない。米国の「アジア回帰」で中国をけん制し、「虎の威を借る狐」になろうとしてはならない。21世紀になったのに、いつまでも「脱亜入欧」を引きずり、近隣窮乏化というかつての夢に浸っていてはならない。植民地化・領土拡張・覇権主義の旧時代に留まらず、冷戦思考・ゼロサムゲームの古い枠組みから脱却するべきだ。世界のボス・アジアのボスとなる構想をやめ、すでに破綻した、力及ばずの「リバランス」とやらに拘泥していてはならない。
明治維新後の日本と、改革開放を経た今の中国を比べてみていただきたい。両者には「力強い発展の勢い」という共通点がある一方で、大きな違いもある。それは、中国は急速な発展の中でも、日本のように軍国主義の道を選択することは無いし、できないということだ。中国には「安定と平和、発展を根本とする」という賢明な戦略的位置づけがある。日本も「平和を享受し、実務的で根本を守る」という戦略的位置づけを見出してもらいたい。
日本は、戦後の「正常でない国家」の地位から脱却しようと急いでいる。それならば、旭日の「日」に陶酔するばかりではなく、根本をわきまえ、それを守る最低限の抑制も必要なのではないか。