しかし物価上昇は、長期的な好景気を促すよりも容易だ。日銀の岩田規久男副総裁は先ほど、「長期的なデフレの克服では大きな勝利を収めることができたが、日本経済の復興にとっては不十分だ」と発言した。
日銀の試算によると、人口と資本支出の減少、生産効率の停滞などの影響を受け、日本経済の年間平均の「潜在成長率」は、1980年代末の4%から0.5%未満に低下した。潜在成長率の上昇は、3本目の矢が引き出すべき効果だ。
容易に実現する目標は、すぐに効果をもたらすものだ。エコノミストは、「日本は監督管理の緩和により利益を得られる。輸出入手続きの電子化といった、政治的な抵抗が少ない簡単な提案から実行に移すべきだ」と指摘した。
しかし成長と効率アップを促す政策面で、安倍首相は少しの進展しか実現できていない。移民に対する厳格な規制、雇用・解雇・給与面の規制の緩和が、その典型的な例だ。
安倍首相はこの方向に向かい努力しており、外国人を雇用できる業界を小幅拡大し、就労ビザの期限を3年から5年に延長するよう提案した。この措置は、外国人社員を数千人増やすと予想されている。
多くの日本人は、経済成長率を上げるため、より大規模な改革をする必要はないと考えている。日銀の白川方明元総裁はデフレを、「失業率が低すぎることにより生じる副作用」と表現した。日本経済が崩壊した時も、日本の失業率は6%未満だった。これは米国では、非常に低い失業率とされている。白川氏は、「労働市場の安定は、社会契約だ」と語った。
安倍首相は、経済成長率を上げるため、日本の社会契約を書き換えるつもりかという問題に、明確に答える必要があるのではないだろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年6月28日