安倍晋三首相は19日、山口県下関市の講演で日ロ関係について触れ、「ロシアを責任ある大国として、国際社会のさまざまな問題に建設的に参与させる必要がある。私はそのために、プーチン大統領と対話を維持していく」と述べた。共同通信社が19日に伝えた。
安倍首相はまた、「(日ロ)平和条約の早期締結に向け、交渉を粘り強く続ける。国際社会はマレーシア機墜落の真相を究明しなければならない。いかなる係争も国際法に基づき、力ではなく外交ルートによって解決するべきだ」と述べた。
マレーシア航空の旅客機墜落事件によりウクライナ情勢が緊張化している。安倍政権の、北方領土(ロシア名・南千島群島)問題の交渉における「対ロ友好外交」が、重大な岐路に立たされている。米国が「親露派」と見なす武装組織が旅客機を撃墜した可能性がある中、ロシアに肩入れする態度を取れば、日本は米国の信用を失う。逆に米国に肩入れすればロシアを刺激し、プーチン大統領の秋の訪日に影響を及ぼす。安倍政権は、米ロの間で二者択一を強いられている。
安倍首相は18日、福岡市で記者の取材に応じた際に、「国際社会は原因究明に力を尽くすべき」と称し、今後の動向を慎重に見守る姿勢を示した。
安倍政権の内部では、欧米が親露派によって撃墜されたと判断し、さらなる対ロ制裁措置を講じるよう求めた場合、日本は協力せざるを得ないとされている。安倍首相の側近は、政府中枢はすでに米国の態度に焦点を移していると指摘した。
旅客機墜落前、米国政府は安倍政権のロシアに対する態度に不満を表明していた。日本政府はこれを受け、岸田文雄外相を16日にウクライナに派遣し、ウクライナ支持を表明した。
しかしながら、対ロ政策を巡る日米関係には、微妙なズレがある。消息筋は、「オバマ米大統領の側近は5月中旬、国家安全保障局の谷内正太郎局長による今月上旬の訪露が日米間の信頼関係を損ねたとして、米国が強い不満を持っていると語った」と述べた。オバマ政権内部は、安倍首相とプーチン大統領が日ロ関係を発展させることを強く警戒している。
10−12月と目されているプーチン大統領の訪日は、果たして実現されるのだろうか?首相官邸の関係者は、「現在の情勢が続けば、プーチン大統領の訪日は米国に反対される。米国の我慢の限界を上回れば、実現は困難になる」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年7月21日