安倍晋三首相の日本を取り戻す計画が、危険な段階に入っている。同計画を実現する上で重要になる三つの要素は、物価上昇による経済対策、安全戦略、支持率だが、これがいずれも厳しい目で見られている。フィナンシャル・タイムズ(電子版)が伝えた。
これは重要なことだ。安倍首相が事の重要度と緊急度を測り間違えれば、その任期は日本の長期低迷における短い間奏曲とされる可能性がある。手中のカードを上手く切れば、安倍首相は英国のマーガレット・サッチャー元首相のような革新的な指導者として記憶されるかもしれない。その功績にはデフレ脱却だけではなく、自信あふれる日本の再建が含まれるだろう。
安倍首相の差し迫った問題は、これまで批判者と野党の攻撃をかわす盾となっていた、高い支持率の急落だ。支持率と不支持率の差は、年初の30%から8%まで縮小された。この流れが続けば、安倍首相はさまざまな面でより大胆な反対を受けるだろう。例えば日銀の旧制度と関連するデフレ論者、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で影響を受ける農家などだ。
国民の政府の動きに対する不安が、一本の導火線になっている。日本政府は、一部の海外軍事活動に「青信号」を灯した。政府は平和憲法の「解釈見直し」という、聞き飽きた稚拙な措置を講じようとしている。中国が領土主権の主張を強化し、アジアはこれとバランスを取るための力を必要としている。日本にとって最良の解決方法は改憲だが、これには時間がかかる。安倍内閣は近道を選択し、結果的に代価を支払った。
安倍首相は支持率低下の不利な局面から回復した経験を持つが、今回の経済的な背景は安倍首相にとってあまり有利ではない。政治家は聞こえの良い言葉を弄し、今年4月の消費増税に踏み切った。その結果、予想されていたことではあるが、日本の消費が力を失った。さらにまずいことに、安倍首相は来年の増税の早すぎる決定を迫られている。これは家庭の購買力を低下させるだろう。
また安倍首相の就任1年目の成果の一つである物価上昇は、それほど安定的な流れを示していない。日本の6月のコア物価指数は、実質的にはプラマイゼロとなった。スーパーから収集したPOSデータに基づき作成される東大日次物価指数を見ると、物価は昨年秋からほとんど上昇していない。
安倍首相の差し迫った課題は、物価上昇の原動力の再強化だ。安倍首相の政治資本はそこから得られるが、日本の安全戦略を変えられるかはその政治資本にかかっている。安倍首相は目的を達成するため、名目GDPが2年連続で3%に達するまで、消費増税を延期するべきだ。法人減税の目的は資本支出の拡大ではなく、企業の保有する大量の現金を株主と社員に還元することであるべきだ。また日銀は2年内に物価2%上昇という目標を維持し、ためらうことなく量的緩和第2弾を実施するべきだ。
日本の安全・外交戦略の変更は、非常に重要だ。アジアの地政学の争いが今後さらに数十年続くことを考えると、日本国憲法は21世紀に適していない。しかしこの根本的な問題は、国民の同意を得なければならない。
安倍首相は事の重要度と緊急度を理解する必要がある。経済回復が確実な流れになり、株価が長年に渡り続騰し、街頭に楽観的なムードが満ちれば、憲法改革の機が熟するだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年7月20日