ニューヨーク・タイムズは16日、早稲田大学教授の加藤典洋氏の文章を掲載した。記事の内容は下記の通り。
日本の戦後の平和精神は滅びようとしている。「健忘症」にかかった日本の政治家は、平和と安全に貢献できない。
メディアの世論調査では、日本の多数の国民が集団的自衛権の行使容認に反対し、数万人の国民が首相官邸前で抗議した。しかし安倍晋三首相は、頑なに行使容認に踏み切った。これは日本の戦後の平和主義精神が、滅びようとしていることを意味する。
兵士と一般人を含め、第二次世界大戦で死亡した日本人は300万人(全人口の約4%)に達すると推算されている。
しかし今や第二次世界大戦の生存者が亡くなり、彼らの記憶も失われようとしている。
自民党は日本の小中学生にナショナリズムを吹き込んでおり、ある程度の成功を収めている。
日本の若者は第二次世界大戦の実体験を見聞きすることがないため、美化された日本の侵略の歴史に酔いしれやすい。動員数が700万人以上に達した、日本の侵略の歴史を美化した映画「永遠の0」がその例だ。
日本と中韓などの国の実力にも、大きな変化が生じている。中国のGDPは日本を大幅に上回り、韓国も追いついてきている。中韓の急発展は良いことだが、日本の警戒を招いており、日本と隣国関係も緊張化している。
米国は日本政府が集団的自衛権の行使を容認したことを歓迎したが、筆者は米国政府には期待していない。
日本政府による平和憲法の解釈見直しが現実になったが、これはかつての戦争がどのようなものであったかを記憶している日本人が少なくなったからだ。健忘症が平和と安全にどのような貢献を成し遂げるか想像しがたい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年7月20日