韓国の検察当局は8日、朴槿恵大統領の名誉を毀損したとして、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を起訴した。日本人記者が韓国で、報道の問題により起訴されるのは21年ぶりで、大統領に対する名誉毀損容疑で海外報道機関の関係者が起訴されたのは初めて。日本政府とメディアは、本件に強い反応を示している。一部の日本メディアは、日韓関係への影響は不可避と伝えている。
ソウル中央地検刑事1部は8日、朴大統領と朴大統領の元補佐官チョン・ユンフェ氏の名誉を傷つけた容疑で、加藤前支局長を在宅起訴した。検察側は、「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と題した、加藤前支局長が書いた産経新聞インターネット版記事が、出所不明のうわさに基づく虚偽の記事だと判断した。この記事には、「4月16日、朴大統領が日中、7時間にわたって所在不明となっていたとする『ファクト』が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている」、「証券街の関係筋によれば、それは朴大統領と男性の関係に関するものだ。相手は大統領の母体、セヌリ党の元側近で当時は妻帯者だったという」、「『朴氏との緊密な関係がウワサになったのは、チョン氏ではなく、その岳父のチェ牧師の方だ』と明かす政界筋もいて、話は単純ではない」という3つの問題点がある。
検察の起訴理由は次の通り。(1)根拠なく女性大統領に不適切な男女関係があるかのように虚偽事実を指摘し、大統領の名誉を傷つけた点。(2)当事者らを相手に事実確認をするなど必要な措置を取らなかった点。(3)証券街の情報誌など信頼できない資料のほかに取材の根拠を提示できない点。検察はまた、「加藤前支局長が被害者に対して謝罪、反省の意を見せず、処罰の必要性が高い」と強調した。
フジテレビは9日、「政府は同日中に韓国大使を呼び、加藤前支局長の件について抗議した」と報じた。菅義偉官房長官も韓国を痛烈に批判し、「報道の自由は民主国家で極めて重要だ。起訴という処理方法は、民主国家にあるまじき方法だ」と述べた。岸田文雄外相も、「遺憾と憂慮」を表明した。産経新聞は連日、韓国の検察当局が記者の調査と起訴に乗り出したことについて、反撃を展開している。産経新聞は記事の中で加藤前支局長の弁解をし、日本政府高官と有名人の韓国への批判を大々的に報じ、韓国には報道の自由がないと批判している。NHKは、「本件の日韓関係への影響は不可避だ。日韓両国は8月と9月に外相会談を開き、日韓首脳会談の実現に向けて努力している。しかし日本政府は本件が、両国の関係改善の積極的な行動に冷水を浴びせる恐れがあるとしている」と報じた。
一部の韓国メディアは、検察当局の起訴の決定を疑問視している。韓国日報は、「検察当局は2ヶ月以内の速戦即決で、本件の起訴の決定に至ったが、これは言論の自由を巡り物議を醸した」と伝えた。産経新聞の記事は、朝鮮日報の記事の内容をほぼそのままコピーペーストしたものであり、産経新聞だけを起訴したことは不公平と分析する声もある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年10月10日