中日両国の間には現在、大きな誤解と誤判断が存在している。日本には「中国脅威論」があり、中国にも「日本脅威論」があるが、これはいずれも現状に一致しない。
平和と発展は、現在の世界の2大テーマだ。これは鄧小平氏が当時、中国の新路線と新政策を確定した基本的な前提だった。鄧小平氏のこの基本的な観点は、現代にも適用できる。また新しい客観的な事実と多くの情報・分析により、一部の日本の政治家が昔の軍国主義の夢を温めようとしても、今日の日本が軍国主義国になることはないと確信できる。
(一)日本では平和主義が国民の心に根ざしており、軍国主義が再び中心的な思想になるための社会的基盤が失われている。
第二次世界大戦後、日本の中心的な思想は、軍国主義から平和主義に移り、国民の心に深く根ざしている。平和憲法の影響、および軍国主義の失敗と戦後の平和がもたらした高度発展の対比により、圧倒的多数の日本国民は平和を愛し、戦争を憎んでいる。軍国主義者はごく一部の少数派だ。これは疑いようのない事実だ。
日独伊は戦後、それぞれ歴史を深く反省した。この反省に共通する成果は平和主義であり、平和主義が揺るぎない中心的な思想になった。日本の反省の程度はドイツには及ばないが、日本がまったく歴史を深く反省しておらず、日本の中心的な思想が依然として右寄りと言うならば、これは現状に一致していない。
(二)平和主義と民主主義の融合により、軍国主義の実現がさらに難しくなっている。
第二次世界大戦後、日本に再び軍国主義の道を歩ませないため、マッカーサー元帥らが中心になり日本の民主主義・平和主義の新憲法を制定し、日本で民主制度を構築した。60年以上の時の流れにより、日本の民主制度は堅固な基盤を有している。仮に日本が軍国主義の道を歩めば、それは民主制度を放棄し、軍閥の統治を再開することを意味する。だがこれはまったく想像できないことであり、初めから不可能だ。
確かに、民主国家でも侵略戦争を発動する可能性がある。しかし日本には憲法9条と、平和主義の中心的な思想という、2枚の障壁がある。